アルゴリズムとレンダリング

オーディオクリップをストレッチすると、AudioSnapでは特定の公式やアルゴリズムを使ってオーディオをストレッチします。良いアルゴリズムでは計算の時間と処理能力がかかります。AudioSnapで毎回最高のアルゴリズム（iZotope Radiusアルゴリズム）を使うと、タイミング確認のためにクリップを再生できるようになるまでに時間がかかってしまいます。そのため、オンラインレンダリング（リアルタイム再生）のための簡単なアルゴリズムとオフラインレンダリング（ノンリアルタイムのレンダリング）用のアルゴリズムを選ぶことができます。AudioSnapのオフラインレンダリングは通常はトラックへのバウンスのことですが、トラックのフリーズやエフェクトをかけるなどのその他のオフライン処理を指すこともあります。バウンス、エクスポート、フリーズなどのミックスダウンの処理をする場合は、オーディオクリップで選択されたオフラインレンダリングアルゴリズムが使われます。

メモ：オンラインレンダリングモードは、再生中のプレビューのみを目的としたものです。最終的なオーディオの品質は、ミックスダウン/エクスポート時にオフラインレンダリングモードを適用することで大幅に向上します。

AudioSnapによく使うアルゴリズムの効果については次のとおりです。

クイックアルゴリズムを使って、AudioSnapタイムストレッチ、エラー修正などをする場合：パーカッションまたはグルーブクリップを選びます。

AudioSnap編集が終わった後、より良いアルゴリズムでトラックにバウンスする場合：Radiusのうちの1つを選びます。ドラムトラックの場合、通常はパーカッションが最適です。

メモ：クリップは複数回レンダリングしないようにしてください。ストレッチアルゴリズムを複数回、連続して適用すると、オーディオの品質が下がる場合があります（MP3ファイルの出力と同様です）。 プロジェクトがミックスされてファイナライズされる以前に、CPUの処理能力の負荷を一時的に軽減する場合、トラックにバウンスやクリップにバウンスではなく、フリーズ機能を使用することをお勧めします。詳細については、AudioSnapを有効にしたクリップをフリーズするを参照してください。

使用できるアルゴリズムについての説明は次のとおりです。

表 129.  

アルゴリズム	説明
グルーブクリップ	オーディオをストレッチしながら使うのに適したオールラウンドのアルゴリズム
パーカッション	オーディオをストレッチしているパーカッションのクリップに適した音になる
iZotope Radius Mix	違う音のミックスを含むオーディオクリップを使ってトラックにバウンスするときに適したオールラウンドのアルゴリズム
iZotope Radius Mix Advanced	iZotope Radius Mixと同様ですが、2種類のパラメーターが表示されます。 ピッチコヒーレンス：ピッチのコヒーレンスで、人間の話し声、サックス、ボーカルといったピッチ付きソロボイスの音色が自然に保たれます。このコントロールのデフォルト値は50%です。ピッチコヒーレンスの値を高く設定するほど、位相の正確性は増しますが、より変調された音になります。 位相コヒーレンス：ステレオやサラウンドのオーディオを処理する場合、位相コヒーレンスによってチャンネル間の位相関係を維持できます。このコントロールのデフォルト値は50%です。位相コヒーレンスの値を高く設定すると、わずかに歪みが発生しますが、複数のオーディオチャンネル間の位相が維持されます。 ピッチコヒーレンスと位相コヒーレンスのパラメーターは、編集 > 環境設定 > プロジェクト > AudioSnapで調節できます。
iZotope Radius Solo	ソロインストゥルメントのオーディオクリップを使ってトラックにバウンスするときに最適。ギターは「ソロ」インストゥルメントですが、コードを弾く場合には「Radius Mix」のほうが良い場合もあります。 ヒント：クリップ/トラックにポリフォニックとモノフォニックのパートが混在している場合は、それぞれのパートを別のクリップとして分割し、別のアルゴリズムを使うこともできます。
iZotope Radius Solo(Bass)	ベースインストゥルメントのオーディオクリップを使ってトラックにバウンスするときに最適
iZotope Radius Solo (Vocal)	ソロボイスのオーディオクリップを使ってトラックにバウンスするときに最適

デフォルトのアルゴリズムを選ぶ

1.	Alt+Aを押して、AudioSnapパレットを開きます。

2.	設定の反映リストで、グローバルを選択します。

3.	Render Modeで、目的のオンラインおよびオフラインのレンダリングモードを選択します。

AudioSnapが有効になっているクリップをストレッチまたはバウンスすると、デフォルトのストレッチアルゴリズムとして選んだ設定が使用されます。個別に設定したクリップを除きます。クリップごとにアルゴリズムを選ぶことができます。

クリップごとにレンダリングアルゴリズムを選ぶ

1.	編集する1つまたは複数のクリップを選択します。

2.	Alt+Aを押して、AudioSnapパレットを開きます。

AudioSnapパレットに、選択したクリップの現在のレンダリングモードが表示されます。レンダリングモードの異なる複数のクリップを選択すると、オンラインおよびオフラインのリストには、（Multi）と表示されます。

3.	設定の反映リストで、クリップを選択します。

4.	Render Modeで、目的のオンラインおよびオフラインのレンダリングモードを選択します。

トラックの現在および今後の全クリップに対するレンダリングアルゴリズムを選ぶ

1.	編集する1つまたは複数のトラックを選択します。

2.	Alt+Aを押して、AudioSnapパレットを開きます。

3.	設定の反映リストで、トラックを選択します。

4.	Render Modeで、目的のオンラインおよびオフラインのレンダリングモードを選択します。

選択したトラックの現在および今後の全クリップに、選択したレンダリングモードが引き継がれます。

AudioSnapを有効にしたクリップをフリーズする

1.	フリーズオプションダイアログを開くには、以下のいずれかを実行します。

トラックビューで、トラックのフリーズボタン を右クリックします。

オーディオトラックを右クリックし、ポップアップメニューからフリーズ > フリーズオプションを選択します。

2.	トラック FXチェックボックスがオフになっていることを確認します。

3.	OKをクリックして、フリーズオプションダイアログを閉じます。

4.	次のいずれかを実行します。

トラックビューで、目的のトラックのフリーズボタン をクリックします。

トラックを右クリックし、ポップアップメニューからフリーズ > トラックのフリーズを選択します。

SONARはトラック内のオーディオを新しいオーディオクリップにバウンスします。

AudioSnapを有効にしたクリップをバウンスする

1.	バウンスするクリップを選択します。

2.	トラックビューのトラックメニューをクリックし、トラックにバウンスを選択して、トラックにバウンスダイアログを開きます。

3.	出力先の設定欄で、新しいクリップを置きたいトラックを選びます。

4.	ソースの種類を、トラックにします。

5.	チャンネルフォーマットとディザリングオプションを選びます。

6.	ミックス項目セクションですべてのオプションをオンにします。

7.	OKをクリックします。

 

関連項目：

トラックとシンセのフリーズ

オーディオクリップを別のトラックにバウンスする

クリップの結合（バウンス）方法

AudioSnapトランジェントマーカーでグローバルツールを使用する

トランジェントマーカーを編集する

AudioSnapパレットを使用する

オーディオとプロジェクトのテンポを同期させる

オーディオクリップのタイミングを修正する

オーディオからMIDIのタイミング情報を抽出する

一般的な編集

展開されたマーカーを使用する